試して駄目だったこと

6/7 b値、静穏化、震源の集中度

「ふだんどおり」のときにも何か言えないか。 地震の数を数える以外の方法を、いくつも試しました。すべて駄目でした。

うまくいかなかったことも記録として残しておきます。 同じことを試そうとする人の参考になるかもしれません。

試したこと結果
直近30日・90日の地震数情報なし
地震活動の静穏化情報なし
b値の変化見せかけだった(下記)
震源の深さの変化かえって悪化
震源が狭い範囲に集まる度合いかえって悪化
震源どうしの距離かえって悪化
複数の指標を組み合わせるかえって悪化
より小さな地震まで含めて数えるかえって悪化

b値の変化は、前触れではなかった

b値とは、小さな地震と大きな地震の割合を表す数字です。 大きな地震の前にこの値が下がる、という説があります。

調べたところ、たしかに統計的な関係が見つかりました。 別の期間で確かめても再現しました。一時は有望に思えました。

しかし、関係の向きが説とは逆でした。 説では「b値が下がると危ない」ですが、データでは「b値が上がると起きやすい」でした。

調べ直すと、原因が分かりました。 b値は前触れを捉えていたのではなく、ふだんの確率の計算誤差を補正していただけだったのです。 確率の計算方法を安定させたところ、b値の効果は9割以上が消えました

震源の集まり方も駄目だった

地震の数は同じでも、狭い範囲に集中していれば何か違うのではないか。 そう考えて、震源の広がり方を調べました。

結果は、すべて予測をかえって悪化させるというものでした。 これは「情報がない」よりも悪い結果です。 データに合わせすぎて、実際には役に立たない関係を拾ってしまったことを意味します。

小さな地震を増やしても駄目だった

観測網が密な地域では、ごく小さな地震まで記録されています。 それを使えば情報が増えるのではないかと考えました。

こちらも逆効果でした。 小さな地震から大きな地震の頻度を換算するとき、 大きさの差が開くほど誤差が拡大するためです。 使うデータを増やしたことによる利点を、誤差の増大が上回りました。

この結果をどう受け止めるか

地震の前触れを見つける問題は、何十年も研究されていて、まだ解決していません。 今回の結果は、その現状と一致しています。

公開データから取り出せる情報は、ここまでのようです。 それが分かったこと自体が、この検証の成果だと考えています。

もどるふだんのときは予測できるのか