観測された事実だけを、直感的に伝える。
「ふだんどおり」のときにも何か言えないか。 地震の数を数える以外の方法を、いくつも試しました。すべて駄目でした。
うまくいかなかったことも記録として残しておきます。 同じことを試そうとする人の参考になるかもしれません。
| 試したこと | 結果 |
|---|---|
| 直近30日・90日の地震数 | 情報なし |
| 地震活動の静穏化 | 情報なし |
| b値の変化 | 見せかけだった(下記) |
| 震源の深さの変化 | かえって悪化 |
| 震源が狭い範囲に集まる度合い | かえって悪化 |
| 震源どうしの距離 | かえって悪化 |
| 複数の指標を組み合わせる | かえって悪化 |
| より小さな地震まで含めて数える | かえって悪化 |
b値の変化は、前触れではなかった
b値とは、小さな地震と大きな地震の割合を表す数字です。 大きな地震の前にこの値が下がる、という説があります。
調べたところ、たしかに統計的な関係が見つかりました。 別の期間で確かめても再現しました。一時は有望に思えました。
しかし、関係の向きが説とは逆でした。 説では「b値が下がると危ない」ですが、データでは「b値が上がると起きやすい」でした。
調べ直すと、原因が分かりました。 b値は前触れを捉えていたのではなく、ふだんの確率の計算誤差を補正していただけだったのです。 確率の計算方法を安定させたところ、b値の効果は9割以上が消えました。
震源の集まり方も駄目だった
地震の数は同じでも、狭い範囲に集中していれば何か違うのではないか。 そう考えて、震源の広がり方を調べました。
結果は、すべて予測をかえって悪化させるというものでした。 これは「情報がない」よりも悪い結果です。 データに合わせすぎて、実際には役に立たない関係を拾ってしまったことを意味します。
小さな地震を増やしても駄目だった
観測網が密な地域では、ごく小さな地震まで記録されています。 それを使えば情報が増えるのではないかと考えました。
こちらも逆効果でした。 小さな地震から大きな地震の頻度を換算するとき、 大きさの差が開くほど誤差が拡大するためです。 使うデータを増やしたことによる利点を、誤差の増大が上回りました。
この結果をどう受け止めるか
地震の前触れを見つける問題は、何十年も研究されていて、まだ解決していません。 今回の結果は、その現状と一致しています。
公開データから取り出せる情報は、ここまでのようです。 それが分かったこと自体が、この検証の成果だと考えています。